連作「歌う川」より その4/岡部淳太郎
 

         川 歌う川 歌うのは川


十一

歌う
そのことに川は 意味を求めない

ただ川は
日々歌うことに 喜びを見出す



やがて、河口
{引用=
やがて
河口
たどりつくのはいつも そこだ
祈る人に限らず
旅をする者はみな
最後には必ず
河口に行きつく

川に沿っての
果てしのないように思えた旅も もう
終りである
旅の終りを
誰が祝福してくれるのか
そんなことを思う気はさらさらなく
祈る人は
壮大な淋しさに我を忘れる

だがいま彼には
胸の中で確実に育った隕石の
声が聴こえている
終りは終りではない

[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(3)