埋葬/はじめ
 
でいただろう そして 風に乗って桜の花びらが地上の人工物を一掃して 海を埋め尽くしただろう ピンク色の海が見えたはずだ
 今では新緑がこの山から街まで隙間を埋めている 皐月の風は時々まだ肌寒いがだいぶ暖かい 膝の上に蟻が昇ってきたが僕は払おうとしなかった きっと握り飯の匂いに誘われてやって来たのだろう 僕は木の枝に米粒を一粒くっつけて蟻にあげた しかし蟻はそんなものには見向きもせず 触角を回転させて何かを探していた しばらくすると蟻は膝から降りていった
 僕は再び新緑に恵まれた君の街を見ていた 工場の煙突から煙が出ていた 何時間見てても(時間の概念は無くなっていたが)飽きなかった 風が僕のお
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