Fetes(祭)2篇/角田寿星
 
えちがいます御嶽しずかな石の押しだまった集積
ひろがり集束するベクトル嬌声のひびき槌を砧をその奥で叩く。

あしあと。あしおと。あしあと。
あしあと。あしあと。
あしあと。
そうだ
森を
ぬけなければ
あかるい
闇の
なかを。


(2)

夜のまんなかで 立ち上がる兎のように
いっそ 月に狂ってしまえたなら
よかったのに

村のはずれ
丘の祠にむかうほそい道の
両脇に列をなす
篝火 ゆっくりと
四つ脚の車輪が滑るように昇っていく
ふっ と途切れそうになる あれは
みずの音だろうか それとも
ゆらゆらと炎に明滅する背中
あなたの
坂の軌道に
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