連作「歌う川」より その1/岡部淳太郎
 
とは
そのような範囲にとどまることはない
歌は
鼓動
人間の
宇宙の
いつまでも終らない
果てしなく繰り返される生の
息吹である
川は
そのことを知っている
祈る人も
そのことを
知り始めている



歌う意味
{引用=
だから
人は歌う
歌は生の果てしない鼓動だから
人は
今日も
街で
村で
輪の中で
あるいはひとりで
歌うのだ
ほとんどの場合
人は歌の本質を
知ることはないのだけれど

だから
旧い人類は駄目なのだと
怒ってみても始まらない
祈る人は知っている
自らと
他の人々とを区切る
明らかな線があることを

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