宇宙犬ライカ/山田せばすちゃん
て
取り付けられていたのだがそのとき
「クーちゃん」は実は小声で「ヤーライカ」(私はライカ犬です)と
つぶやいたのだけれどもその声は
通信機器のおそらくは米帝の卑劣な妨害工作に邪魔されて
「ヤーチャイカ」(私は鴎です)と伝送されてしまったらしく
「君君、君は鴎ちゃうやん、犬やん」と
地上管制局から突っ込みを入れたのが誰だったのかは
ソ連邦崩壊後のドサクサで記録は残ってはいないのだけれど
おそらくはその口ぶりからして
ソビエトの西の方の出身の技師だったと思われる
さて「クーちゃん」には大気圏外を飛行しながら
後にやってくる有人宇宙船を待ち
その後有史以来初めての宇宙空間
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