宇宙犬ライカ/山田せばすちゃん
空間における犬の散歩という
まさに共産主義の勝利を宇宙的に知らしめるはずの歴史的任務が
期待されてはいたのだけれど
その期待を満たせる技術も資金も当時のソビエトに
あるわけがなく
「クーちゃん」は哀れにもその命の火が消えるまで
大気圏外を周回しながらまだ見ぬ主人を待つことになるのだが
実はその時点で「クーちゃん」は「宇宙犬ライカ」ではなくって
「忠犬ライカ」と名前を変えられるべきだったのかもしれない
あるいはもし
もしかして「人類初の女性宇宙飛行士」が「クーちゃん」の宇宙船を発見し
厳しい宇宙空間を生き抜いた「クーちゃん」と
感動的な一年ぶりの再会なぞを果たしたりした暁には
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