さ く ら/川口 掌
 
々を過ごしていたか
自分の世界の中だけで 周りの事など全く見えず
泣いたり笑ったりするだけで精一杯だった私には
想像する事すら出来ませんでした


久しぶりに実家に連絡を取った私に
母が小声でささやいた言葉は
「あなた 知ってた? 三丁目の由美子ちゃん もう末期なんですって」

私は今も忘れる事が出来ません


由美子姉さんはもう一年も前から
自分の体の不調に気付いていたそうです
そう 私が彼氏さんと急接近し始めた頃です
それから入退院を繰り返し
そしてとうとう
今度の 起き上がる事も出来ない身体での退院だったのです


母の言葉を聞きどうしても会いたい 
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