夢/たかぼ
。私はその病院で頭皮に脳波測定の電極を装着したまま一晩を過ごすことになった。翌日来院した親とともに私は検査結果を聞いた。それは私にとって驚くべきものであった。つまりそれは私は夢を見ているという結果であった。私は唖然とし、親は安堵のため泣き出す始末であった。しかし、と医師は続けた。問題はどうしてその事を憶えていないのか、そしてどうすれば夢を思い出すことができるようになるかが分からない事なのです、と。しかしその後は、もう親はそれほど心配しなくなった。夢など思い出せなくても生活に支障を来すものではないし、夢など元々何の役にも立たないではないか。この子が特別な欠陥のある人間ではないと分かっただけで充分だ、
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