バブルから遠く離れて━━とある放浪記━━/日雇いくん◆hiyatQ6h0c
 
が、疲れてたせいもあってそのまま動かなかった。チラ、とその男の方に視線を向けると、私の方を何かにつけ見ていて、もの欲しそうな表情をしていた。そして注意して見ていくうちに、その男はじり、じり、と獲物を狙うかのごとく慎重に私の方へとにじり寄ってきた。こりゃ決まりだな、とある種の恐怖を感じて決意した私は、すぐに起き上がり、休憩所から飛び出してそのまま公園の出口まで一目散に歩いた。髭の男も、私の後を追ってきたのが気配でわかったが、私が無事公園から出ると、男は出口の前でただ呆然と立って、私の姿を名残惜しそうに見ていた。まるで「シェーン、カンバーック」とでも言いたげに見えた。
 後で友達になった男に聞いたの
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