黒猫/はじめ
く歩いていくと くるっと僕の方へ顔を向け にゃ〜ご と鳴いて僕の心に『ついて来い』とテレパシーを送ってきたような気がした
僕は用事も忘れて黒猫の元へ歩いていった すると黒猫は再び歩き出して距離を置き 時々僕の方向へ振り向いてはまた歩き出した
僕達は住宅街を抜け お茶畑を抜けて黙々と歩いていった 僕は途中でなんだか映画の『耳を澄ませば』の状況に似ているなぁと思いながらついていった
やがて黒猫は大きな洋館に辿り着いた 僕は黒猫の歩くスピードについて行けず ゼーゼーと息を荒くしながら やっとのことで黒猫に追い着いた
黒猫はほんの少し隙間の空いた扉に体を滑り込ませ 贅肉のたっぷり付いた体を
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)