黒猫/はじめ
 
体をぐりぐりと捻り込ませながらやっとのことでくぐり抜けた そして扉の奥からにゃ〜ご(『入ってこいよ』)とテレパシーを送ってきて 僕に中に入って来るように命じた
 僕は扉を開けて恐る恐る洋館の中に入ってきた 辺りは外と同じように真っ暗だった 僕がきょろきょろと見回していると 二階からにゃ〜ご と鳴き声が聞こえてきた
 僕は螺旋状の階段を上っていって 黒猫の鳴き声のするある部屋の中に入っていった
 その中には年老いた男性がガウンを着て揺り椅子に座ったまま死んでいるのを見つけた 僕はすぐ携帯電話で警察に通報した 黒猫は自分のご主人の死を誰かに伝える為にやって来たのだ
 今では黒猫は僕の家で一緒に暮らしている 彼女もできた 不吉な存在だった黒猫は幸福を運んできてくれたのだ
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