目撃者の真昼/モーヌ。
そして 通って
故地を さぐって
ねこが あくびを
里山に 乾いた あおい春が たむろ して
ひびのはいった 石の ほとけが
まなこに 星を 裂いて あたたか なのは
誰かに 添えられた
野花たちの 唄のせい だったから でしょうか...
幾年(いくとせ)も 見つめるだけの 視線は
さえずりはじめた 葉むれを めぐる
ひかりの 彩の なかで
微塵と なり 過去と 思おうとした ひとと
とめどなく あふれて
必要と される 確かなもの へ
めざめた 小さな声を ふるわせた
暗室の 時計が
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