ケンちゃんはカエルに似ている/木棚環樹
 
ずくまって、奇妙な声を出していた。いじめられているときは、まだ良かった。たいていは、忘れ去られていたのだから。

ケンちゃんの体はベトベトして気持ち悪い。ケンちゃんの体を素手で触ると、ベトベトが付くので、誰も触らない。プリントも回さないし、給食もあげない。ケンちゃんも欲しがらないので、これが普通だとみんな思っている。

ケンちゃんの唯一の友達が、飼育係の裕二君だ。ときどき、裕二くんはケンちゃんを水飲み場に連れていき、水道の水で遊ばせる。そんなとき、水の好きなケンちゃんは嬉しそうに「ケロケロ」と笑って跳びはねる。

でも本当は、裕二くんもケンちゃんの相手をするより、自分の友達と遊んでいる
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