ケンちゃんはカエルに似ている/木棚環樹
 
だ。どこの学校から来たのか僕は知らない。転校してきたとき、

「みなさんも早くケンちゃんとお友達になりましょうね。」

と、担任の大島先生が言ったので、みんなケンちゃんとお友達になろうとしたし、授業が終わると、ケンちゃんの周りにわっと押し寄せて、みんなでケンちゃんの取り合いをした。

でも、一週間もすると、みんな飽きてしまって、誰もケンちゃんと遊ばなくなった。教室にケンちゃんが居ることさえ、忘れていた。

ケンちゃんは、からだが小さく、無口で、カッコ悪かったので、いじめられやすかった。背中をつついたり、わき腹を差したりしても、担任の先生にチクルことはなかった。ときどき、小さくうずく
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