蛙声/ブライアン
 
叫びである他の理由をもたない。それらの悲しみが、湿った日本の大地なのだ。水という生命体の根源と、大地という動物の根源。そこへ縛り付けられた蛙。それ以上求めてはいけないと、天は蛙の願いを聞き入れない。拒否するのだ。だが、蛙は諦めない。この身の訴えを天に求める。
 「ここには蛙がいるのだ」と。天はそれらの自己主張に耳を傾けることすらない。その前にたちはだかる忠実な部下、宙が蛙の騒々しい声を切り裂き、分裂させてしまうのだ。

 声は、分裂を余儀なくされるだけなのであろうか。
 身から剥ぎだされ、宙でその身を分解させる。
 声は図表化されなければいけなかったのだろうか。求める声として意味を持たね
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