白すぎる天井、不鮮明な感情/三架月 眞名子
 
いにきた
最初は嬉しかった
こんなアタシでも大事にされているんだと
少しの希望が持てたから

でも
目的がアタシではないことに気づいてしまった
アタシと逢うことで出来る付加価値に
彼は惹かれてやってくる
彼の目はアタシの表面しか見ていない
欲しくない種類の孤独がアタシに襲い掛かる

ただ
彼女は一度も来なかった
捨てられたのだろうかと一瞬思ったけど
そんな無慈悲な人ではないことくらいわかっていた
危なげなくらい優しい人だから

ただ
お互い少しの時間が必要だったんだ
顔を合わせない時間が二人の溝を埋めることを
本能で理解していた
やっぱり血の繋がりが一番
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