ふたり、夢を見る/soft_machine
指に風船が赤い
ゆれていたのを喜んで
ポケットに湿気モク見つけた
誰か男に火をもらう硝子に映して
膨縮する街の息遣いにたばこあかりを
ちょっとの間重ねていられた明滅する蛍光灯と
誘導灯のこまかい囁きと
夕映えに浮かぶネオン
頷いて雲を割って進むジェット
ひとつひとつ空腹に凍えながら
おんなの子はもう家に着いたろうか
君の暖かさで風船が割れなかったら
いいなお母さん勉強ばかりさせないでねと
だれかといてもひとりは辛いけど/ほんとうのひとりはずっと辛いので/猫でも鼠でもいいからすこしの間耳を貸してほしいいてほしいのだ/いてくれさえするならばイヌサルフナトラかまわない/真
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