ふたり、夢を見る/soft_machine
 
/真夜中、未明、明け方と。微笑みだけあればいいのではないだろうか、いっそ/あぁ海、あぁ月、あぁ雨あぁ砂浜と/繰り呉ちるだけ私はもはや幸せでなかろうか/つまり君は山かもしれず渓かもしれずもしやこれは旋毛か花片かいっそそれとも?
もはや蜂か鷺かのやうに狐か狸の技にて私の裡に今もあって生きる。

こんなすき間にお前のあしたは見えない
柔らかい汗がむっとした鎖につながって
すべての童は静かに泣いた
ビルの電気響と靴音だけが
夜の底に落ちた影を過ぎてゆく
どんなにちいさいあしたも見えない
お前は自分の影を踏み占めて
もっとひとり語りかけるから
どうしてもお前はひとりのままなのだろう

[次のページ]
戻る   Point(10)