王女メリサ5/atsuchan69
で閉じていた眼を一度おおきく瞬かせてみせました。
王女は底なしの沼のほとりに立ちました。ぼんやりとしろい靄がすでにふたりを包んでいます。アスフィールはランプをかざして沼の向こうに眼を凝らしました。木立にまざって荒(あば)らな家がその影をうっすらと闇にうかばせています。
「あれだ」
「足元に気をつけてアスフィール」
近づくと小屋のすぐ手前の木に、首を吊ってぶら下がっている骸骨がありました。夜なのでよく見えませんでしたが、骸骨は手に吹き矢の筒をにぎっていました。
「あまりお気になされないように。きっとどこかの旅人でしょう。それより王女様、こんな粗末な小屋で朝までおすごし
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