王女メリサ5/atsuchan69
けまるで音楽でも聴いているかのようなふりでした。「ジード! 聴こえているのかい?」
そこで魔女は花瓶を宙にとばすと従者の頭に水をこぼしました。彼は驚いて耳からドングリをはずしました。「やっとわかったのかい。この役立たずが」
「は、はい。ヘレン様」
彼はあわててやって来ました。
「あの蛙はどこだい? モナカイの蛙だよ」
「ええ。ここにあります」
従者は寝台の真下からそれを取りだし、透かしの布を捲ってヘレンに手渡しました。
「ああーん、蛙ちゃん。いい子にしていたかい? また役に立ってもらうよ。仲間を大勢ふやしてあげるからね」
それを聴くと籠のなかの蛙は咽喉をふるわせ、それまで閉
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