王女メリサ5/atsuchan69
 
となり、そのうちにまったく見えなくなってしまったとき、
「ああ!」
 暗闇のなかで侍女は顔を両の手で覆うとむせび泣き出しました。



 透かし模様の布を垂らした寝台に横たわり、胸元にいる黒猫のまるでビロードのような毛並みの背を撫ぜながら、
「いいかい。今夜はおまえが妃になるのだよ。たくさん我儘を言って王を困らせておやり。いひひひ・・・・。だけど夜明けとともに戻っておいで。そうでないとおまえも焼け死んでしまうからね」妃はすると姿を魔女へレンにもどし、「ジード!」 従者を呼びました。「蛙の籠を持ってきなさい」
 従者はドングリを耳に入れ、指で拍子をとりながら窓際の椅子に腰掛けま
[次のページ]
戻る   Point(3)