王女メリサ5/atsuchan69
いったいどちらに?」
侍従が窓から顔をのぞかせて言いました、
「なにすぐ戻る。王女様がお仕立てになった服をたったいま取りに行かねばならんのじゃ」
「妙だな。なぜ家来の者にとりに行かさないのだ?」
「そなたも知っておろう。前の王に仕えた者はほとんど全員追い払われてしまったわい。それにもしもお召し物にお直しがあれば、そこに王女様が居らんとまずいであろうが」
「ならばよし、行け」
馬車にはアスフィールのほかメリサの侍女も乗っていました。
「王女様は、爺と一緒に来られないので?」
町をだいぶ過ぎて侍従が尋ねました。
「この国を見捨てられないの」
「どうか御無事をお祈りしています」
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