時間は無情に/山崎 風雅
 
 信用なんてなかった
 絶望の歌に酔いしれた

  
 真剣に恋をしたのは二十代後半だった
 世界がこんなに綺麗でキラキラしたものだと初めて知った
 毎日は輝いていた
 心は空を飛んだし
 その娘の声が私を天に昇らせた


 数々のエピソードを越えて
 花びらが散るように恋も散っていった
 残された俺は初めて一人が恐ろしいと思った
 毎日が地獄に変った
 時間だけは相変わらず無情に過ぎていった

 そんな日々を壊すために旅に出た
 海外に独りで旅立った
 ものすごく不安だった
 バンジージャンプのようだった
 

 出会いは劇的で
 想像もしないよう
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