モバイル100/nm6
分かろうとしては、決していけない。ただその数だけ把握して、そして高らかに吐いてしまう。ふだん吐きづらい、大きすぎることばだけ。その包み込むことばを、狂ってしまったフリをして。
ぼくらは電波に乗って、吐いてしまおう。
笑い飛ばせば霧にまみれて、二度とするりとは分け入れない。
ぼくらが過ぎる、いつもの渋谷駅だ。エスカレーターが警告する平和。集まっては去っていき、繰り返し分け与える。何度も、何度も。なくしたものも、吊り下がる小手先の意図に呆けて、気づかないまま通過していけるように包囲している。それも、そうだ。それも絶望的にやさしい何らかのパワーで、決して甘えでも不注意でも痴呆でもな
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