「 ケタ。 」/PULL.
んだ色をしてる。
涙が、
止まらなかった。
あの夜もそうだった。
ケタが暴れてる。
やばいものに手を出して、
錯乱して、
ナイフを振り回してる。
あの夜、
そう連絡を受けた。
近くで飲んでたおれは、
すぐに現場に駆け付けた。
暗い路地裏で、
ケタが吼えていた。
ナイフを振り回して、
おれの知らないケタが、
吼えていた。
ケタが振り向いた。
おれに気付いた。
血走ったケタの目が、
おれを見た。
言った。
「…さん、
おれもうつらいんです。」
ケタは、
泣いていた。
ケタもおれも、
みんな泣いていた。
「ひと
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