「 ケタ。 」/PULL.
 
のガッコウに通うんだって、
もう一度勉強し直したいって。
やっぱり、
すげぇ下手くそだけど、
でも読みやすい字で、
そう書いてあった。
それが最後の手紙だった。


車検の納車の途中、
ヤクチュウの車に追突され、
ケタは死んだ。
即死だった。
ホントならケタは、
その車に乗っていないはずだった。
その日は休みのはずだった。
だけどケタは、
少しでも早く仕事を覚えたくて、
センパイの納車に付いていったんだ。

相手のヤクチュウは、
ケタと同じ、
ネンショの出身だった。
そのネンショから出た後、
ヤクチュウはすぐに、
ショウガイでムショに栄転した。

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