棚織津女の一夜/なかがわひろか
な)えば
二つ厄を
与えた快楽の数だけ
あなたは取り除いてくれるのです
特に守りたい人がいるわけではありません
年を取り腐臭漂う老人や
家父というだけで威張り散らす男
清い血縁とは何ですか
ただ従うだけに私は生まれてきたのですか
快楽に溺れるあなたには関係のないことでしょう
このような村ならばいっそ滅びてしまえばよろしいのに
私がこのようなことを考えているのも露知らず
あなたは何度も果てるのです
夜が明けるまで
何度でも何度でも
あなたは何もなかったように
また空へと帰って行きます
これでまた一年
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