暁の巡礼/モーヌ。
夜に 似た 低空に
明けの 鶺鴒(せきれい)を 飛ばせ
白の まざった 灰の すがたを たどる...
つばさは みなもを 割って 流れる水を
かがみの 空へ 文字と 散って
かれらが 描いた 道の 降る 水珠の 一瞬を
フレットの 上に トレース して
ひとつの 朝焼けを ひそかな 軽風を
蒼穹の アリアを...
ちがう 音たちに ゆれて ゆく
音階は おなじ だけれども
おなじ ひびきたちが する
オクターブは 違えども
捨てられ 忘れられた 花影の 蔦から
翳で あった ふるさとに 触れる
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