マントル/石田 圭太
す俺達の涙の間には長い隔たりがある
ふがいない気持ちで何かをぶっ飛ばしたい俺達の涙の間には長い隔たりがある
決して忘れてはいけない
涙の匂いを思い出すんだ
俺達がそうやって熱く水に憧れる頃
やがてまぶたに本当の海がやってくる
澄みわたりすぎて
それはもう澄みわたりすぎて見えなくなったもの達だ
綺麗だろう
わからないって事がこんなにも澄みわたりすぎて
こんなにも気持ち良くなれる
それすらも可能性の話だよ
海面には船がこみ上げてきて
次々に弾けているんだ
松島の花火大会を思い浮かべてごらん
丁度扇のような形をしな
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