マントル/石田 圭太
しながら春青とした海面を
温かい夢のように先取りした夏のように
しゃぼんのように船が弾けているんだ
ひどく曖昧で
綺麗に未熟なそれを眺めながら
俺達はぷかぷか煙草を吹かしている
俺達もぷかぷか弾けている
その時相変わらず俺達の涙の間には長い隔たりがあるだろうけれど
そうしたら今度は深まっていこう
光のようにどこまでも真摯な姿になって
俺達を支えてくれる途方もなく硬い所まで
そしてその先にある途方もなくやわらかい所まで
美しい隆起を泳ぎながら
感動的にたれ流しながら
嬉しい!
すごく嬉しい!
響き渡りながら
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