マントル/石田 圭太
 
能性の話だよ

どうか怯えないで欲しい

俺達のまぶたにはしばしば海がやってくる

その時までにはたくさんの食事をしなきゃならない

あいつもこいつもどいつもの名前も食らわなきゃならない

空を見たって命は遠くてよく見えない

風を見たって命は流れてよく見えない

土を見たって命は埋れてよく見えない

いただきますもごちそうさまも言う暇がないくらいスピーディーに

やるせなく走りながらそういった命は見過ごす事になるだろう

その時俺達には忘れてはいけない命の輝きが浮かぶ

決して忘れてはいけない輝きが浮かぶ

やるせない気持ちで肩を落としながら流す俺
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