「 遺影の顔 」 /服部 剛
 
のないひとたっている。 

(かけぶとんは、みのむしのいえ 
(みをちぢめるおくびょうなぼく 


「 なむみょうほうれんげぇきょぅ 
  なむみょうほうれんげぇきょぅ 
  なむみょうほうれんげぇきょう 」   


  * 


ノックの音に、目が覚める。 

窓の外は、鶯(うぐいす)の唄。 

ドアが開いてあらわれた、
にこやかな友の母。 

皿に乗る、自家製ケーキを 
ぼくに手渡す。

それぞれの恋に破れて 
三十過ぎても独身の 
息子とぼくのささやかな友情に 
うれしそうな母の背中 
部屋を出る 


ケーキにのった

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