佳子 1997冬/ダーザイン
院から帰ってきたその年の冬、佳子は麻痺したようにぼんやりと窓の外を見ていることが多かった。相変わらず神様との電話は続いていたが、もう夕日を恐れることはなくなっていた。
その日、朝早く目覚めた僕は久々に佳子を外に連れ出すことに成功した。テレマークを履いた僕らは、近くの河川敷の疎林をゆっくりゆっくり散歩した。遥かな空の青みから幾筋もの光の帯となって射し込んで来る木漏れ日がとても美しかった。久々に身体を動かしたせいか上気した顔で息を弾ませながら佳子は言った。
「ねえ、えいえんってこういうものなのかなあ。」
そうかもしれないね。
「ねえ、えいえんって何?どんなえいえん?」
さあ、どんなも
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