佳子 1997冬/ダーザイン
なものだろう、きっとお日様の光のように暖かくて優しいものなんじゃないかな。
「そうかなあ、そうだといいね。」
誰もいない林の中に、雪球を投げ合って子供のように戯れる佳子の声が木霊した。
*
その晩、仕事を終えて部屋に帰ると、佳子の姿は灯油のポリタンと共に消えていた。けたたましいサイレンの音がドップラー効果を実演しながらアパートの前を通り過ぎていく。救急車のサイレンの音を追って河川敷へ走ると、人垣の向こうの雪野原の中に、人の形をした炎が灯っていた。
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その後、僕も何度か神様に電話をかけた。
「神様、神様、これもあなたが望まれたことなのですか?
*
神が答えるわけがない。
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