王女メリサ4/atsuchan69
た。
「親愛なる王女様 今、マガラの南にはいったところです。ついさきほど雨が降りましたが、兵たちはいたって元気のように思われます・・・・」
耳についさきごろ交わしたばかりの大佐との会話がもう一度くりかえされました。
「行かないでください。これは命令です」
「いえ。たとえ命令にそむいてもわたしは行くでしょう」
「あなたが行かなければ誰も死なずにすみます」
「いえ。いま行かなければやがて大勢が殺されるでしょう」
瞼を閉じると、戦地によろめく人影がありました。彼は傷ついて片腕をぶらさげるような恰好で歩いていました。顔も汚れていましたが、その顔をよく見るとひどく大佐に似ていました。彼
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