王女メリサ4/atsuchan69
和の町を娼婦と乞食のさまよう荒野に変えたわ。それでもあなたは帰らない。なぜ? だから今度こそ本当にすべてを焼き払ってみせる。本当よ! だからお願い、たったひとことでいいの。何か言ってちょうだい、お願い!」
それからとつぜん、「わあー」と泣きだすと床に倒れてさらに泣きじゃくりました。
元気なく萎れ(しおれ)はじめた花たちをながめ、メリサはどことなく暗い顔をしていました。椅子にかけたまま力なく右手で魔法をつかうとたちまち花は活きいきとした姿によみがえりましたが、
「こんなちっぽけな魔法では誰も救えないわ」
そうつぶやくとメリサはふたたび読みかけの手紙に眼をおとしました。
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