王女メリサ4/atsuchan69
は今どちらに?」
「じつは大勢います。ですから“あちこち”と答えるべきでしょうか」
「まあ」
メリサは呆れました。
それから間もなくのこと。侍従がよぼよぼした顔をひどく強ばらせてやって来ました。
「お越しいただけますでしょうか」
メリサは詩人と輪投げをして遊んでいましたが、
「わかりました」
と言うと、「アスフィール、つづきはまたこの後で・・・・」
たったいま投げようとしていた輪のひとつを詩人に渡して出てゆきました。
ややあって王女は妃とともに玉座の一段下がった席におりました。
接見の間には城じゅうの者があつまり固唾をのんで王のご登場を待ちわび
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