王女メリサ4/atsuchan69
 
ることがなかった

  辱められても
  髪を切られても、
  僕たちはまだ夢をみている

  やがて一陣の風がふき 涙にぬれた頬の乾くとき
  僕たちは もう、ここにいない
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 湖畔の景色を一望する窓辺を離れ、
「いかがでしょうか?」
 そう言って詩人は一礼しました。
「たいへん感銘いたしました。もっとお聞かせいただけませんこと?」
「はい。でもこの詩のほかはどれも魔王のために作ったものですから・・・・」
「では今、お詠みになられたのは誰のための詩ですか?」
「愛する人へのものです」
「まあ。愛する人・・・・よろしいですわね。きっとお美しい方でしょう。その方は今
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