王女メリサ4/atsuchan69
なさい」
やがて馬車の外に番兵が男をつれて立ちました。メリサは小窓からふたりを見下ろし、
「名はなんと?」
男にむかって尋ねました。肩にさげた皮袋にはたくさんの巻物が詰めてあります。
「アスフィール。名もなき吟遊詩人にございます」
「そなたの首のネックレスは、いったいどこで?」
「はい。かつて王女様にお仕えされた教師エスターより頂きましたものにてございます」
「ではエスターを知る者であろう」
「仰せのとおり」
「番兵。もう下がってよろしい」メリサはさっそく扉をひらき言いました、「すこし狭いですがお乗りになってください。お聞きしたいことがまだまだあります。それとそのネックレスで
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