王女メリサ4/atsuchan69
ょう」
頭に手をやって侍従が言いました。
「かわいそうに」
メリサがふたたび窓をのぞくと男は笑ってこちらを見ていました。その首にエスターのネックレスがあります。
「さきほど街でも騒ぎをご覧になられましたように、城のまわりにも不穏な空気がただよっているようですな」
メリサは窓の際にぶら下がった紫の紐を引きました。呼び鈴が鳴り、従者が馬車をとめます。
「どうされたのです? 王女」
「侍従。あの者をこちらに呼びなさい」
「いえそのようなことは・・・・」と言い、王女を見るといつになく険しい顔がそこにありました。
やむなく侍従は窓から顔をだし番兵に命じました。「こちらにお連れしなさ
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