挙動不審者/hon
した場合、そのときは食べる器官のみ必要というわけだから、その顔は全部が口だけになって、哀れな鳩を骨ごとばりばりと(おそらくは生きたまま)、口元を血だらけにしながら噛み砕くことだろう。
だから、そいつはいちどきに一つのことしかできない、わりと不器用な怪物なのだ。
私はそれらのことを理屈でなく感覚で理解しつつあった。
私は呼吸すら忘れて窓の外のものに見とれながら、なすすべのない確実な死を覚悟していた。
窓には鍵がかかっていたが、そいつは難なくそれを通りぬけて、横たわる私のそばに立ち、何だか分からないがそいつにとって必要と思われることを容赦なく私にした後、無慈悲に私を殺すだろう。
し
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