挙動不審者/hon
遠くから見ていたのでは分からなかったが、間近でみると2m、ないしは3mはあるかと思われる長大さで、窓一面を覆いつくすものだった。
混乱する頭で必死に考える。これは警察が言っていた不法行為に該当するだろうか。おそらく該当するはずである。だって、他者の敷地に無断で侵入しているのだ。
その暗い顔には一つの大きな目しかなかった。
そいつの大きな目が窓の外から、じっと私を見据えていて、私もその目に吸いつけられるように見返していた。
考えてみるに、そいつは今は見ることのみを欲しているので、見るための器官である目しか、顔面に必要がなかったのにちがいない。
もし仮にそいつが鳩を食うことを欲した
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)