挙動不審者/hon
 
遠くから見ていたのでは分からなかったが、間近でみると2m、ないしは3mはあるかと思われる長大さで、窓一面を覆いつくすものだった。
 混乱する頭で必死に考える。これは警察が言っていた不法行為に該当するだろうか。おそらく該当するはずである。だって、他者の敷地に無断で侵入しているのだ。
 その暗い顔には一つの大きな目しかなかった。
 そいつの大きな目が窓の外から、じっと私を見据えていて、私もその目に吸いつけられるように見返していた。
 考えてみるに、そいつは今は見ることのみを欲しているので、見るための器官である目しか、顔面に必要がなかったのにちがいない。
 もし仮にそいつが鳩を食うことを欲した
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