挙動不審者/hon
るというのか。私は小さくため息をついて、夕食のしたくに取りかかった。
その夜のことだった。
何かがきしむ音を感じて、ふとんの中で急に目が覚めた。
うめき声をあげて、体をのばすと、ぼんやり窓の方に目をやった――途端に、私は息を飲んで凍りついた。
不審者が外側から窓枠につかまって、部屋の中をのぞきこんでいたのである。
驚きと戦慄で心臓がきりきりと痛み、目がはっきりと覚めた。これは全力でもって逃げなければいけない……と、とっさに起き上がろうとするのだけど、見えない巨大な手に押さえつけられているように、あおむけのまま、まったく身動きがとれないのだった。
そいつの体躯は、遠く
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