蒼い微光/前田ふむふむ
うしろに隠れて、
晴れわたる裾野には、大きなみずたまりをつくる。
わたしのあらすじを、映すためだけに、
生みだされた陽炎だ。
4
わたしは、きのうがみえる都会の欠片のなかを、
隠れるように浮遊する。
モノクロームの喧噪が音もなく流れる。
その沈黙する鏡のなかで、煌々と燃えている、
焚き火にあたり、ひとり、あしたの物語を呟いてゆく。
八月の船は、衣を脱いで、冬の雪原をゆく。
二台の橇を象る冷たい雪を、少年のような
孤独な眼差しで貫いて、
瓦礫の枯野に、うすい暖かい皮膚を張る。
熱く思い描いた経験が、
あなたの閉ざされ
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