蒼い微光/前田ふむふむ
冬の朝は、とてもながい。
しじまを巡りながら、
渇いたわたしの、ふくよかな傷を眺めて、
満ちたりた回想を、なぞりながら、
やがて訪れるひかり。
そのひかりに触れるとき、
ながい朝は終焉を告げる。
そこには、恋人のような温もりはないだろう。
あの、朝を待つ、満ちたりた時間だけが、
恋しいのだ。
3
無言の文字の驟雨が、途切れることなく続く。
覆い尽くす冷たい過去の乱舞。
わたしは、傘を差さずに、ずぶ濡れの帰路を辿るが、
あの、群青の空を、父と歩いた手には、
狂った雨はかからない。
やがて、剥がれてゆく、気まぐれな雨は、
蒼いカンパスのうし
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