王女メリサ3/atsuchan69
 
んに巻いた口髭に手をあてました。部屋には明かりがなく、ランプの灯りは召使いが手にしていました。
「ここは前の妃の部屋か?」
「左様でございます」
「余には、まるでここが開かずの間のように思えるが・・・・」
 やがて鏡にふたりのならんだ姿がうつるのを見て、
「来られたか。いや、てみじかに話そう」ふりむき言いました。「今日はクリスマス。贈り物を進ぜようと用意した」
 そして腰掛けたまま、両わきのポケットから別々の小箱を同時にとりだし、
「こちらがメリサ」まず右手。「こちらがエスター」そして左手。
「まあ」
 ふたりは顔を見合わせました。
「お取りくだされ」
「はい」
 メリサが
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