王女メリサ3/atsuchan69
 
チごっこだ」拳をひらいて、お手上げだというみぶりをしました。
「なんて不潔な子どもたちでしょう!」
 ほんのすこし窓の外をのぞき、あきれたような顔で夫人がいいました。
 息子はすぎてゆく光景をしばらく窓にはりついて見ていましたが、とつぜん馬車が止まったので父親にたずねました、
「どうしたの父さん。手袋でも忘れたのかい?」
 すると市長はなにも言わず、馬車をおりると、
「君たち! はやくこっちに来なさい」と大声で“かれら”を呼びました。「さあ、早く!」
 手招きする市長を不思議に見つめ、少年のひとりが起きあがりました。
「おい、どこかのおじさんが呼んでいるぜ」
「ほっとけ、かかわる
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