王女メリサ3/atsuchan69
枯れた木立のある丘にひとり隊を見送るメリサは外套の頭巾によく冷えた手をあて、ただそこに立って兵のゆくさまを眺めるばかりでした。指のリングがつめたく凍るように煌めいています。メリサは眼を閉じました。矢継早に惨(むご)く血なまぐさい光景があらわれては消えます。・・・・爆裂する砲弾や土くれのしぶき、倒れる兵士のうごかぬさまや足のない屍、半開きの口と永遠にとじぬ眼・・・・。
「母さん・・・・」とメリサはつぶやきました。「わたしこんなの望んでない、望んでないわ」
すると背後にエスターが立っていました。
「迎えにきましたのよ」
メリサはふりむき、
「気がつきませんでした。エスター」
そ
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