王女メリサ3/atsuchan69
 
。「今はなにもわかりますまい。政とは、人の情けでうごくものでけしてないことを」
 ふり向いた王さまの顔がランプの灯りにほのかに照らされ、まるでメリサの心と同様にかすかにも揺らぐのが見えました。



 翌年のある日。夕焼けの空を瞳の奥にのこして、にわかにあつめられた兵士たちが順序正しい隊列をくんで出てゆきました。
 冬の風はつめたく、空のうつくしさはまるで哀しみがこの世界のたったひとつの真実であるかのように思わせます。とても残酷に・・・・とても鮮やかに映った空の下を、あれた唇を噛み、ふるえる瞳を瞬かせることもなく、自分を殺し、ただ 命じられるがまま兵士たちは出てゆくのでした。

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