喪服屋マリー/吉田ぐんじょう
レスが得意だった
祖母はビジネス・スーツが得意だった
曾祖母は普段着るような木綿のワンピースを好んで作った
そして
そうして
マリーの最も得意なものは喪服だった
町の人々は皆彼女を
「喪服屋マリー」と呼んでいた
マリーの仕事は夜になると始まる
その時間に最も多く人が死ぬからだ
マリーは電気を好まなかった
来客は蝋燭を持って応対した
悲しそうな顔をした者
嬉しそうな顔をした者
表情はそれぞれ違ったが
マリーにとってはどうでもよかった
マリーは淡々と客の体のサイズを測り
翌朝には新品の喪服を仕立あげた
マリーの喪服はま
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